事業承継において問題になる株価評価を下げる方法とは?

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会社を始めて10年や20年と時間が経過すると、なるべく長く、できれば次世代に会社を引継いでもらいたいと思う経営者は少なくないはずです。
しかし継続するためには立ちはだかる業績や売上の低迷、資金繰りの悪化などクリアし、さらには次世代に引継ぐところまで円滑に進める必要があります。

事業承継における課題とは?
事業承継に対する課題として挙げられるのは、後継者問題と自社株問題です。
まず後継者となる人がいないという場合、誰に後を継いでもらうかという問題が経営者の頭を悩ませます。
仮に後継者が見つかった、または既に自分の子などに会社を引継がせる予定があるとしても、今度は自社株の問題により事業承継が進まないというケースもあるようです。

自社株の評価額が高いと事業承継に妨げに
経営者にしてみれば、自社株の評価額は高いほうが良いと思うかもしれません。しかしこれが事業承継時に相続税や贈与税の納税額を上げてしまう事に影響します。
自社株の評価額が高いことで事業承継の妨げになっては意味がありませんので、上手く評価を下げる手法などを検討する必要があります。

売却も換金もできないので対策が必要
自社株は換金できるわけでも他人に売却できるものでもありません。経営者固有の財産とみなされ、相続が発生すれば相続税の課税対象になります。
自社株の評価の元である資産は会社にあっても、課税はしっかり個人にされるという事を理解しておきましょう。

対策の前に自社株の評価額の算定方式を理解すること!
自社株の評価額を算定する方式は、「純資産価額方式」と「類似業種比準価額方式」があります。

・純資産価額方式とは
会社保有の資産の相続税評価額の合計から負債合計額を差し引き、発行済株式数で割って株価を算出します。

・類似業種比準価額方式とは
業種が類似する上場会社の株価や配当、利益、純資産を基準に株価を算出する方法です。ただし2017年1月に、この類似業種比準価額方式の利益比準値割合が3倍から1倍に変更されています。
そのため純資産が大きな会社や配当が出ている会社は自社株評価額が高くなる可能性があると考えられますので、事前の対策がより重要です。

純資産価額方式で評価するなら
純資産価額を多ければ多いほど株価の評価額は高くなるので、純資産価額を下げるために土地や建物に投資をするという方法が活用できます。また、役員退職金を支給するという方法も活用できるでしょう。

類似業種比準価額方式で評価するなら
配当金額や利益、純資産価額を低くする事で株価の評価額を下げる事ができますので、役員退職金の支給や、後継者が新会社を設立し収益部門の事業を譲渡するという方法などが活用できます。また、業績が悪化しているタイミングで自社株を先に譲渡しておくといった事も検討する様にしましょう。

長く事業を継続させるために
せっかく業績を上げ、会社の評価も高まり、良い状態で次世代に引継ぎたいと思っても、自社株式の評価額が高いばかりに事業承継が円滑に進まなければ意味がありません。対策を早めに検討しておくなど、スムーズに引継ぎができる様にしておくと良いでしょう。