経済産業省(中小企業庁)による「事業承継5ヶ年計画」とは?

企業経営情報

中小企業の経営者の高齢化は進む一方で、今後地域の事業を次世代が地盤をしっかり引継いでいくことが必要です。
事業承継がきっかけとなり、後継者がベンチャー型事業承継などの経営革新等に積極的に挑戦することができる環境整備が必要となるでしょう。
中小企業庁は中小企業の育成や発展に関する事務などを行う経済産業省の外局として設置された行政機関です。
その中小企業庁は、経営者の高齢化による事業承継問題を重く見て、今後5年程度を目安に事業承継支援を集中して行う「事業承継5ヶ年計画」を策定しています。

事業承継5ヶ年計画策定の理由
中小企業で事業承継を必要としている企業は数十万と言われており、多くの経営者が高齢を迎えています。今後5年間、30万以上という経営者が70歳を迎えます。
しかしそのうち6割の経営者が誰に会社を任せるのか後継者が決まっていない状態で、さらに現在既に70代である経営者でも事業承継準備を行っている経営者は半数です。
今後経営者の高齢化が進み、事業承継準備を行っていない段階で万一のことがあれば事業を継続できなくなる可能性もあるでしょう。
このような現状から、中小企業の事業を次世代が引継ぐことが出来るように策定されたのが「事業承継5ヶ年計画」です。

事業承継5ヶ年計画の内容は?
今後5年は事業承継に対する支援を集中して行う期間としておき、次の観点から支援への体制や施策を強化していくようです。具体的には次のような内容になっています。

・経営者自身の事業承継に対する需要の掘り起こし
地域ごとに各支援機関を繋げる事業承継プラットフォームの立ち上げ、事業承継診断などでのプッシュ型支援の実施により、事業承継に対する需要の掘り起こしを行います。

・後継者が事業を引継ぎたくなる環境の整備
経営改善を早期の段階から取り組むことが出来るように資金繰りや採算管理などへの支援を行い、早期承継に対する誘因を強化した上で経営の合理化やビジネスモデル転換などへの挑戦を支援します。

・後継者マッチング支援に対する強化
事業引継ぎ支援センターの体制を強化し、民間企業と連携して小規模M&A市場を整備します。

・事業退出や事業統合などへの環境整備
サプライチェーン、そして地域においての事業承継、事業再編や統合などの促進により、中小企業の経営力が強化されることを後押しします。

・経営人材の活用
経営者候補や事業に対するアドバイザーなど、経営能力の高い外部の人材も活用できるような環境整備を行います。

事業承継について考える良いきっかけになる?
実施計画によると、親族に後継者がいない場合などはM&Aを仲介する民間の事業引継ぎ支援センターなども協力しながら他社に売却することなども提案されます。
現在、事業承継に対して悩みを抱える中小企業の経営者は少なくありません。そのため今回の5ヶ年計画は、再度事業承継について考える良いきっかけになるのではないでしょうか。