現在中小企業の経営環境は、金融不安や経済の急速な減速などの影響により厳しいものになっています。業績も想定していたより伸びず、役員報酬など管理職の年俸を減額し、残業時間の削減や勤務時間の短縮、採用計画を見直すといった様々な施策を実施しなければいけない企業もあるでしょう。
このような流れから、収益力を強化することを優先させるために「経営合理化
を進めることを検討する企業もあるようです。
経営合理化という施策は本当に正しい?
リストラや組織再編といった人員削減の施策を含めた経営合理化は、経営危機と関係なしに社員数を減少させることを継続的に行う企業もあります。
経営合理化により人件費などのコストを削減できる反面、経済発展の一因としての技術革新を低下させ、さらに従業員のモチベーションや会社に対する忠誠度を減退させてしまうかもしれません。
このような長期的に見て大きなマイナス要因があることは証明されていても、実際に時間が経ってから明らかになるものばかりなので経営合理化が正しい施策と考える企業は多いようです。
当初の施策の誤りには気が付かない
仮に新製品の開発に失敗して深刻な問題を抱えていたとしても、その失敗の影響が10年前に行った経営合理化による技術革新の減少とは気が付かないケースが多いようです。
潜伏期間が長かったせいで、なぜ失敗したのか、原因と結果を結び付けて理解することができなくなってしまいます。結果としてさらなるコスト削減など、間違った解決方法を導入することになるでしょう。
仮に経営合理化ですぐに利益が出た場合、それが良いものだと思い込んでしまいがちです。しかし短期的に利益を生む施策が長期的に良い結果を生むとは限りません。最終的に悪い結果となっても、最初のやり方が間違っていたとは気が付かなくなってしまいます。
短期的な利益しか見込めない可能性もある
人員削減はこの10~20年くらいで一般的な経営施策として実施されてきました。経営危機ではないとしても、多くの企業が次から次に大規模な人員整理を行っています。
企業は利益を増やすために経営合理化を行うでしょうが、人員を減らすために芹を振り回すことで人件費削減に繋がっても、先にも述べた通り残った社員のやる気や忠誠心が下がれば意味がありません。
施策を成功させるには?
人員削減をうまく行うには、常に企業が社員を大切にしていることを表明することも必要です。例えば長期有給休暇制度、社内託児所、確定給付年金、フレックスタイムなどを導入し、残った社員が辞めるには惜しい会社だと思えるようにすることも必要でしょう。
また、自分が人員削減の対象にならないように、会社の努力を理解しながら高い士気を保つことにも繋がるかもしれません。反対に企業が社員を軽く見ていると判断されれば、社員側から去っていくことになり、企業は見込んでいたより多くの社員を失ってしまうことになります。
経営合理化は正しい施策?
経営合理化が正しいか、その結果はすぐにはわかりませんが、残った社員のモチベーションなどを維持することが出来るかが重要なポイントになることは理解しておきましょう。