近年、消費者の嗜好やニーズは様々な方向に変化しているため、その変化の速さに対応するように「経営の多角化」を進めていく企業も少なくありません。
消費者の志向の変化に対応できる企業であれば、1つの事業に絞って経営を行う専業企業のように、事業が不調になった時に一気に業績が悪化することもないでしょう。
悪化した事業を均一化できるという意味で、多角的な経営を行うことを考える経営者もいようです。
経営多角化を行うことによるメリットとは?
現在の事業に不確実性を感じるという場合や、事業の分野全体の成長率が低い場合など、経営の多角化を考えて行くことも1つの方法です。
1つの分野で不調だとしても、他の分野に進出していればリスクを分散する事ができます。
また、1つの企業が複数の事業を行うことは、それぞれの事業を別々に行うより効率性が増すシナジー効果を得ることも期待できるでしょう。
異なる分野で経営資源を共同で利用し、また、管理や技術のノウハウを事業同士が相互に利用し合うことができるので、経営悪化防止や企業成長促進のために検討する価値はあると考えられます。
デメリットは必要コストの上昇
それならいち早く経営を多角化したほうが良いと思うかもしれませんが、メリットもあれば当然、デメリットも存在します。
経営を多角化する最も大きなデメリットは、何と言っても資本や労働力を1つに集中させる事ができないことです。
それによって、必ず効率的な経営が成立するとも限りませんし、事業が複数になれば事業ごとで専門的な人材が必要になるので、準備するためには資本を割くことも必要になります。
効率的に経営を行っていくのなら、資本と労働力を集中させて可能な限りコスト削減することが必要ですが、多角化すれば反対にコストは増えてしまいます。
・具体的にどのようにコストが増える?
例えば1つの事業を製造販売している企業なら、部品の大量発注や開発に特化した人材育成などが可能です。
それによってコストを削減できるようになりますが、複数の製品を製造販売する事業なら、それぞれ異なった部品を仕入れなければならないので大量発注でコスト削減することはできません。
また、専門性の異なる人材を雇用・育成しなければならないため、人件費も上昇することが予想されるでしょう。
経営多角化を検討するなら
経営を多角化する一番のメリットは、消費者の行動や時代の変化で生じる企業収益の変動を低く抑えることができる事です。
ただし多角化するということは事業を増やすことになるのでコストが増えてしまうでしょうし、事業を取り巻くリスクも多く抱えることになってしまうことは理解しておく必要があります。