法人税の種類とは?法人事業税と法人住民税の違い

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会社で納める税金の中には「法人税(等)」があり、法人税法で定められた複数の税金を支払う義務があります。

 

 

法人税の基本構造は3種類の税金

 法人税(等)とは「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の3種類で構成されています。法人所得税と法人住民税は、個人でも支払う所得税と住民税なのですが法人の場合には法人のみに課税される法人事業税があります。

法人税(法人所得税)

 3つのうち唯一国税で会社の所得に課税される税金なので、「所得」に「法人税率」を乗じて計算します。企業会計では「収益−費用=利益」、税務会計では「益金−損金=所得」となり、収益と益金は似たものですが、費用と損金は大きく違っています。企業会計で費用に該当していても税務会計で損金に算入されるとは限りませんので、法人税の課税対象となる「所得」は「利益」のことではないということになります。

法人住民税について

 法人住民税は地方税ですが、法人でも公的サービスを享受しているということから事業所のある地方自治体に納付する義務が発生しています。所得から算出された法人税額に住民税率を乗じて計算する「法人税割」、資本金別などにより定額になっている「均等割」で構成されます。

法人事業税

 唯一法人にだけ存在する「法人事業税」ですが、こちらも地方税です。法人事業税を課税する地方自治体は都道府県ですので、都道府県に対しての納税になります。「所得」に法人事業税率を乗じて算出します。税率は所得に応じてアップしていきます。ただし法人事業税には法人税や法人住民税にはない特典がありますが、それは翌年度の損金に算入できるということです。

法人事業税の課税免除

 地方自治体によって違いはありますが、過疎地域などで一定の事業に供する設備を新増設した場合などに課税免除される自治体もあります。事業所のある県税事務所に問い合わせて聞いてみると良いでしょう。

法人事業税の徴収猶予

 また、外形標準課税法人で3年以上赤字が継続している法人、または創業5年以内の赤字ベンチャー企業の場合には最長6年間で徴収猶予制度が利用できる自治体もあります。こちらも事業所のある県税事務所に問い合わせてみましょう。

法人税の仕組みを理解して正しい申告を

 法人税(等)の基本構造と3種類の税金については法人として企業を営む上で必ず納付する必要のある税金です。そして企業会計と税務会計の費用と損金に含まれるものは同じではないので、所得と利益はイコールではないということを理解しておきましょう。基本的な知識を理解して会計処理に必要な管理を正しく行うようにし、税務申告に必要になる会計処理については税理士などにも相談してみると良いでしょう。