運送会社は預かった品を手から手へと届けるパイプの役割を担っています。中には「水濡れ厳禁」というシールがダンボールに貼られており、荷物が濡れることを禁止する表示がされている場合もあります。雨の日や台風の日、雪の日など預かった品を無事に届けることができるように、水濡れ防止養生は2重、3重と入念に行う必要がありますし、ダンボールをビニールに包むといったことが必要です。
運送業者のリスク
台風の豪雨でターミナルが浸水して保管商品に水濡れ損害が発生した場合、他にも運送会社の倉庫が出火して建物と受託品に焼損と水濡れ損害が発生した場合など、企業は財物リスクだけでなく営業休止というリスクにもみまわれることになるでしょう。
運送業者自身のリスクのために「運送業者貨物賠償保険」
運送業者が自らのリスクの為に検討したい保険が運送業者貨物賠償保険で、荷主から預かった荷物(貨物)に対して損壊や損害を与えた場合に負担する損害賠償責任を補償する保険です。運送業者貨物賠償保険は運送保険の1つですが「物保険」ではなく「賠償責任」保険で、運送業者が貨物の運送に対して注意を怠ったことで貨物に損害を与えてしまった場合、荷主に対しての賠償責任を補償します。
運送業者貨物賠償保険の特徴
この運送業者貨物賠償保険は、運送業務中に受託貨物に起きた物的損害に対する賠償責任に対して幅広い補償が魅力になっています。移動中(輸送中、車上仮置中、積込み・荷降し中)、置中(保管中、梱包・開梱作業中、流通加工中)に起きた破損、水濡れ、盗難、火災・爆発、輸送用具の衝突、輸送用具の転覆・横転)などの事故の際に補償してくれます。その他保険会社によって様々な特約を付帯することも可能で、残存物片付け費用や検査費用、貨物の積み替えの際にひつような荷降し費用など様々です。
運送業者貨物賠償保険への契約時の注意点
事業許可を取得し運送事業を営んでいる企業が引き受けの対象となっています。ただし次に掲げる貨物については保険の対象とならないので注意しましょう。金銀、白金の地金を含む貨紙幣類、手形や株券などの有価証券、新株券、法令規定や公序良俗に違反する物、輸送用具そのものやトレーラーシャーシ・コンテナなどは対象外です。また、次に掲げる貨物については補償範囲が制限される対象となります。生花や球根、植木などを含む植物、青果物、生鮮食料品、ばら積み貨物、骨董品、美術品、書画、貴金属、宝玉石、活魚貝類や家畜を含む生動物、冷凍・冷蔵・保冷状態の貨物、定温管理する貨物などは制限の対象になりますので注意しましょう。
運送業を営むなら注意しておきたいリスク
事業活動を行う上で、運送業は貨物に生じた損害を荷主に支払う必要があります。水濡れ厳禁の貨物などは特に注意をすると思いますが、それでもどのような事故がいつ起きて賠償責任が発生するかまでわかりません。その時になって慌てることのないように、事前にできる備えはしておくことが望ましいでしょう。