企業の賠償責任。気になる民法の条文。

企業を取巻く危険

日々、テレビやネットなどで報じられる企業の不祥事と賠償のニュース。起業を経営する立場の者としては、気になりますね。今回はすこし、賠償責任について規定した民法の条文を覗いてみましょう。

■損害賠償請求について民法上はどう規定されているのか?

民法 第715条【使用者等の責任】 ① ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。 ② 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。 ③ 前2項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。 少し噛み砕いて言うと、事業を営む者は、その使用者が第三者に損害を与えたときは、賠償しなくてはならない。しかし、適切な注意をしていても生じた不可抗力の事態においてはその限りではない。と、言う事の様です。

■必ずしも契約書で損害賠償に触れる必要はない。

起業と企業、又は企業と個人が契約を交わす際、通常、どちらか一方は「サービス又は商品」を提供し、もう一方はその代りに「債務」を負います。もしも、万が一、契約によって定められた「債務」が履行されない場合は「債務不履行」として「損害賠償請求」を行うことができます。 同様に、「不法行為」が行われた場合にも「損害賠償請求」を行うことができます。 これらは、民法で定められた内容ですので、契約書の中で特に、「損害賠償」について記載をしておかなくても、民法に書かれている「損害賠償請求」の訴えを起こすことができます。

■企業の損害賠償の意味

日本では、実際に生じた損失を賠償するのが損害賠償の役割です。日本以外の先進国では、企業が不法行為を行った様な場合、莫大な額の損害賠償が裁判所より命じられることがある。これを『懲罰的損害賠償』と言います。

■損害賠償の中身

「誠意を見せろ」というセリフが劇画の中などでありますが、たとえ精神的な損害に対する賠償であったとしても、金銭でしかおこなうことはできません。損害賠償は金銭で行われます。

■まとめ 

今回は『企業の賠償責任。気になる民法の条文。』と題してお送りしてきました。損害賠償請求は民法で認められているので、契約書に盛り込んでいなくても、痂疲がある場合は企業が賠償責任を負わなくてはならないということが判って頂けたでしょうか?従業員を適切に監督し、契約相手に損害を与えることの無いよう、気を引き締めて臨みましょう。