会社が民事で訴えられることは珍しいことではありませんが、刑事裁判と違って罪を問うものではないことが特徴です。
事故や名誉棄損などの被害に対する損害賠償請求など、トラブルが発生したときに開かれる可能性がある裁判ともいえますが、会社が意図せず当事者になると手続や費用で戸惑うこともあるでしょう。
そこで、そもそも民事裁判とはどのような手続なのか、刑事裁判との違いについて説明していきます。
民事裁判とは
民事裁判とは、私人間で発生した紛争について裁判所が判断する手続です。
たとえば、次のようなことを民事裁判が扱う民事事件と呼んでいます。
・不倫や交通事故などの慰謝料請求
・傷害事件などの損害賠償請求
・名誉毀損の損害賠償請求
・債権回収
・建物明け渡し請求
訴えを起こした側を原告とし、訴えを起こされる被告に対する訴えで、原告と被告が主張した事実が存在するのか、証拠書類や主張を過去の判例にあてはめながら裁判所が認定していきます。
最終的には紛争解決の判決を下すことになりますが、裁判の途中で提案された和解案により解決するケースもあるため、紛争が判決により解決できるわけではないことは留意しておいてください。
民事裁判と刑事裁判の違い
民事裁判と異なり、刑事裁判は刑事事件を取り扱いますが、被告人が罪を犯したか、刑罰の内容について決定するために行います。
民事裁判とは性質自体が異なる裁判といえますが、民事裁判と刑事裁判は主に次の3つに違いがあるといえます。
・当事者の違い
・和解の有無の違い
それぞれの違いについて説明していきます。
当事者の違い
民事裁判の当事者となる原告と被告はどちらも私人です。
誰でも原告として訴訟提起が可能であり、原告・被告・弁護人を含めて強制力や特別捜査権限などがあるわけではなく、あくまでも対等な立場で裁判に臨み証拠を出し合って主張していきます。
もう一方の刑事裁判の場合、検察官と犯罪を疑われている被疑者が当事者です。
警察官と検察官が犯罪捜査し、検察官が被疑者を起訴すれば刑事裁判となりますが、私人が刑事裁判を提起することはできません。
被疑者の身柄拘束や逮捕など特別な権限を国が有します。
和解の有無の違い
民事裁判と刑事裁判の大きな違いが和解の有無です。
民事裁判は最終的に紛争を解決することを目的とするため、原告と被告双方が納得すれば裁判によらず和解により解決します。
最後に和解条件をまとめた和解調書は、判決と同じ効力を持つことが特徴です。
もう一方の刑事裁判は、犯罪の有無や刑罰の重さなど決める手続であり、和解はありません。
起訴後は判決で終了することとなり、被告人の犯罪を検察官が証明すれば有罪、できなければ無罪という判決が下ります。