「利益相反」とは、ある行為で一方の利益になり、他方には不利益になる行為のことです。
取締役が会社との利益相反取引を行うことは、会社の利益を犠牲にして自己や第三者の利益を優先させる取引を行うことであり、会社は被害を受けるのに取締役は利益を得る取引ともいえます。
そこで、具体的に利益相反とはどのようなことを意味するのか、禁止されている理由と該当する行為について解説していきます。
利益相反とは
「利益相反」とは、ある行為で一方の利益になると同時に、他方には不利益になる行為を指しています。
会社法における利益相反は、次のとおり定義されています。
“会社が取締役の債務を連帯保証する場合や、取締役が自己又は第三者のために会社と取引をする場合など、取締役と会社との利害が相反する取引”
利益相反がダメな理由
利益相反がダメな理由は、会社の成長の妨げとなり、業績で実害をもたらす可能性が高い行為だからです。
証券会社や東京証券取引所の審査でも障害となるため、利益相反に該当する行為については注意してください。
利益相反取引に該当する行為
利益相反に該当する行為や取引について、会社法では次のとおり規定しています。
・取締役が自己または第三者のために株式会社と取引をしようとする場合(直接取引による利益相反)
・株式会社が取締役の債務を保証すること、その他取締役以外の者との間において株式会社とその取締役との利益が相反する取引をしようとする場合(関節取引による利益相反)
【直接取引による利益相反取引の例】
・取締役と会社の間で行われる売買契約
・会社から取締役に対する贈与
・取締役から利息つきの会社に対する金銭貸付
・会社から取締役に対する債務免除
・取締役が受取人である会社からの手形振り出し
【間接取引による利益相反取引の例】
・取締役と第三者間の債務を会社が保証する契約
・取締役が第三者間の債務を引き受ける契約
利益相反取引に該当するかの判断のポイント
利益相反取引に該当するか判断するポイントは、取締役個人の利益になるものの、会社には不利益にしかならない行為かどうかです。
判断がつかない場合には、行為の前に会社の承認を得ることが求められます。
承認方法は取締役会設置会社と非設置会社で異なり、取締役会非設置会社であれば株主総会の承認、取締役会設置会社は取締役会の承認が必要です。
利益相反取引で会社が損害を被った場合、取締役は会社に対し損害賠償責任を負います。
承認を得ていた利益相反取引でも、会社がその取引により損害を受けたときには損害賠償責任を負います。