経営者の大きな仕事のひとつに事業承継があります。事業承継は、人、もの、財産、などについて予め十分な準備を行い後継者へと承継することが大切です。
その対策として、生命保険を活用する方法があるのは多くの経営者が知っていることでしょう。生命保険を活用した事業承継と、注意点についてみてみましょう。
【誰にどのように承継させるかによって活用法は異なる】
生命保険を活用した事業承継を行う場合、誰にどうやって株式を承継させるかによって活用や、問題点などが異なります。
(後継者が法廷相続人の場合)
民法によれば、法定相続人は以下のようになっています。
・配偶者+子供
・配偶者+両親
・配偶者+兄弟、姉妹
現経営者の株式を法定相続人が承継する場合に起こる問題としては以下の3つがあります。
・後継者が、相続税(相続による株式承継の場合)または贈与税(生前の株式承継の場合)を納税する資金が必要
・株式以外の相続財産が少ない経営者の場合、後継者が他の法定相続人に遺留分の分割請求されるリスクがあり、その場合代償交付金を支払う必要がある
・事業を承継したばかりの後継者にはまだ信頼も少ないため、融資してくれる金融機関等も少ない
【生命保険を活用するメリット】
事業承継で生命保険を活用するメリットとしては、下記のようなことがあります。
・後継者が、事業承継をする際の必要になる資金を確保できる
後継者が配偶者、2親等以内の血族であれば経営者個人で保険契約をして、受取人を後継者に指定しておくことが出来ます。
後継者が受取る生命保険は、相続財産にあたらないため他の法定相続人の相続分や遺留分の対象になりません。
また、相続した株式にかかる税金の準備として活用することもできます。
・株式の価値を引き下げることができる
後継者にかかる税金を少なくするために、長期標準定期保険等を活用し、自社株の引下げを行うことができます。また、保険料の半分を損金に算入することが出来ますので大きな節税効果になります。
・会社が後継者から自社株を買い取る際の資金を準備できる
経営者が後継者に株式を相続させた場合相続税が発生します。その際にかかる相続税の支払いに困る後継者も多くいます。このような場合、会社が後継者から自社株を買い取りその代金を後継者が受取って相続税の資金にすることができます。
資金確保のために、法人契約で生命保険に加入しておき、経営者が死亡した場合に死亡保険を受け取れる様にしておきましょう。
事業承継にはさまざまな問題があり、それに対する生命保険の活用方法などを挙げてみました。これらを活用すれば、事業承継の負担、後継者の負担も軽減できるでしょう。