日本では現在「生産性」の大切さが認識しはじめてきている。日本の生産性向上についてさまざまな議論がされているのはなぜだろうか。結論からいえば、日本が明るい将来を迎える為には「生産性を向上させること」=経営者が「改革」していくことが不可欠だからだ。
■日本の経営者の「やる気」を引き出すには?
現在、「働き方改革」で生産性の向上を図れるという見方があるようだ。ルールを変え時間を短くすることにより、イノベーション(技術革新)を起こしやすくなり「生産性が上がる」という考え方だ。
これは、経営者に目的を達成する「環境」を提供しているということになる。だが、経営者がこの環境を「目的」の為に使うのか、あるいは「風景」とするかは分からない。
経営者自信に「やる気」=「動機」がなければ環境が活かされることはない。環境の整備は大切なことなのだが、それ以前に「実現する為に企業が動く」ことがなければ、ただ景色を眺めているのと一緒ではないだろうか。
そもそも経営者は、なぜ生産性の向上をさせ「改革」していかないのだろうか。
■日本の経営者の責任問題とは?
日本は、経済成長で20数年の間で他国に置いていかれた。そして、生産性が先進国最低になるほど落ち込んだ原因(責任)は、日本の経営者にあるといえる。
1990年代から、日本の経営者は付加価値(給料など)の向上ではなく「高品質・低価格」という価格破壊に走った。価格を引き下げる為社員の所得を減らし(社員の給料を削り)、企業としての利益を溜め込んでいくことを平気でしていたからである。
さらに、人口が横ばいになった時代にGDPを維持・成長させる為には生産性の向上が不可欠だったはずだ。この時代に生産性を向上させるべく「改革」に取り組まなかった日本の経営者たちの責任は重大ではないだろうか。
■生産性を高める為には、経営者自身で改革が必要だ
日本の経営者がやることは「給与」を引き下げることではない。日本の労働者は世界的に見て高く評価されており、世界でも5本の指に入るほどだ。だが、日本の優秀な人材なはずなのに「最低賃金」が低く、人材ランキングでいえば、30位前後の国よりも「最低賃金」が低い。
それだけではなく、日本はゼロ金利の状態が長く続いている為、安いコストで資金調達ができ、他国にあるようなインフレとは無縁だ。さらに株主からのプレッシャーを考えれば、他国と比べれば「ない」といえるほどである。
この恵まれた環境で、世界で5本の指に入る日本の優秀な人材を使い「先進国最低の生産性」を生み出している。逆にいえば、環境に甘えた「経営者」を日本が育ててきたのかもしれない。
経営者にできることを考えれば、シンプルだ。お尻を叩かれ最低賃金が上がることは「否応無しに生産性を高める」結果となる。だが、それまでの間に経営者自身でこれまでのことに気づき、自ら動いて「生産性の向上の改革」をしていかなければいけないということだけである。