経営者であれば、財務について把握しておかなければいけない。財務を正しく理解して、積極的に活用することができることは、経営の基本的なことだからである。今回は、経営者が抑えるべき財務について見ていく。
■お金の流れを把握する為に
経営者の問題点のひとつに「財務の理解力不足」がある。加えて、売上があれば何とかなるという認識から財務をおろそかにすることだ。この考え方は、とても危険で会社が倒産することもあり得る重大なことである。
主な原因は、大きすぎる案件を受注したり、必要な資金調達ができないことなど「お金の流れを把握していない」ことだ。これらは、財務を理解することで解決することができる。
■押さえるべき財務とは?
経営者は、いい会社をつくる為には下記①~④の「抑えるべき財務」を把握しておくことが求められる。
①資金繰り
資金繰り=売上代金の回収のタイミングと予定される支払いを見計らって、実際のキャッシュ(手持ち現金)の動きを把握することである。資金繰りを理解しておかなければ、帳簿上は黒字であるのに手持ちの現金が足りず、取引先の支払いができないことになる。
②予算管理
予算管理=必要経費や売上などの予算計画を立て、実績を把握・分析し、今後の戦略や行動の軌道修正をする一連の活動をいう。予算管理は、経営における突然の資金ショートを防ぐ為にある。また、積極的な事業活動という意味合いもある。
経営者は、予算管理をもとに支払いが滞らないように借入れを検討するなど、先手を打つ必要がある。
③資金調達
資金調達をする際に重要なのは、以下となる為把握しておくことが必要だ。
・調達先(親や親戚、友人や知人、日本政策金融公庫、メガバンク、地方銀行、信用組合、信用金庫、個人投資家、助成金、補助金、ベンチャーキャピタル、ノンバンク)
・調達理由(新たな事業を興す為、運転資金の補充、金融機関との関係性づくり)
資金調達で一番多い理由は「運転資金が足りない」ことである。だが、この理由で金融機関に融資してもらうのは非常に厳しい。金融機関は、お金のあるところにお金を貸したいと考えている為、リスクを避ける傾向にあるからだ。
資金調達でポイントとなるは、資金はお金に困ってからではなく、お金のある時だからこそ行うのが正解である。
④余裕資金の計画
余裕資金の計画をする際に、以下の「お金の使い方」で問題がでてくる。
・運転資金を何となく使う
・急激な売上を求めお金を使う
余裕資金ができた際に最も大切なことは、キチンとした利益を生み出す計画だ。例えば、
・収入を増やし新しい商材の購入
・福利厚生の充実
・資産運用を考える
・人を雇う資金
となる。これらのどれに投資をしていくのかは、会社が今後どのように経営計画を立てていくのかで大きく変化する。ただし、中小企業にとって急激な売上の増加が成長ではない。例えば、一時的に売上が上がったとしても、翌年以降に反動がでては意味がない。
このように、余裕資金が生まれた際のお金の使い方は、経営者の重要な判断力である。