事業にとって「人件費」は、最大のリスクマネジメントです。つまり会社が「人件費」を、どのように調整するかが、経営における核となる問題点なのです。今回は、経営リスクにおける人件費について紹介しましょう。
人件費のコントロールは=変動費化
少子高齢化の影響は、企業にも影響を及ぼしています。人材の確保は、企業にとっても大事なことです。人材育成や新規採用も、必要とされています。しかし、人件費の問題はコストの増大によって、最も検討すべき課題となってきています。
企業の売上げは、軒並み平行線か収益減が続いており、売上げ以外の面でも事業の見直しが検討しなければいけないのです。人件費のコントロールは、当面の課題といえます。経営者や企業のリスクとして、人件費のコントロールをどのように検討すべきでしょうか。
人件費のコントロールの必要性
2019年の前半の時点で、大手企業の売上げの下方修正などがあり、景気に陰りがある事は、毎日のニュースで知る事でしょう。大手企業の経常利益の減益が、設備投資にも低水準となっています。
また、経済のグローバル化による影響が、アメリカをはじめ世界各国の影響を受けて、経済情勢の変化がスピードを増している状況です。売上げの変動に対抗するには、経営体質の改善が求められているのです。費用の見直しで、大きな割合となるのが「人件費」なのです。「人件費」のコントロールの必要性が早急に求められています。
具体的なコントロールとは
多くの企業は正社員という概念から、パートや契約社員による雇用体制にシフトしています。それと同時に、自社で一括して業務を完結するのではなく、外部発注によって雇用形態に多様性を持って対応しています。「必要な時の人材」を中心に、人件費を総合的に「変動費化」する事で不況に対抗しているのです。
一昔前の終身雇用制度は、多くの企業で廃止されています。また、「年功序列制度」よりも「成果主義」の導入で、企業の体質改善を行っています。この事が景気回復への足掛かりとなっているといえます。
人材難による影響
これまでの「成果主義」では、人材難の解消をする事が困難になってきました。従業員の定着の為の福利厚生の費用や、契約社員やパート社員の格差を無くす法律によって、ふたたび「人件費のコスト」が増大してきています。人件費は、教育や採用、訓練などの費用も含まれるので、総合的に「人件費のコスト」として検討すべきでしょう。
人件費コストの管理
総額人件費の管理基準として、最も多いのが「積み上げ方式で設定する」事です。他には、「売上高に対する一定比率で枠を設定する」「労働分配率で枠を設定する」などで、管理する企業もあります。
人件費コストの管理として、有効な基準は付加価値ベースで行う「労働分配率で枠を設定する」方法でしたが、年度による変動が大きくなる為に、現状では「積み上げ方式」や「売上高一定割合」が主流となっています。「残業手当」は、新しい制度に伴い削減する事になりますが、福利厚生関係の項目は削減が難しくなっています。人材不足に対して人材教育は増える傾向にあります。
人件費の変動費化実現には
業績に対する賞与
外国で一般的でないボーナスは、日本固有の形態なのです。賞与の管理には、不況の場合には不満が出ないのですが、通常の状況においての人件費管理は、馴染めない事です。しかし、「人件費の管理」としては有効な手段の為、徐々に採用する企業も出て来ています。業績に連動した取り組みとして活用すべきでしょう。
成果配分制度
目標達成や業績の向上に貢献する事で、変動報酬として支給する制度です。
年俸制
アメリカでは一般的な年俸制ですが、日本でも外資系企業が増えるにつれて、認知度が上がってきています。日本でいう基本給と成功報酬の両立は、セールスマンなどのベースとなっているものです。
個人の能力に応じた賃金制度
勤続年数や年齢に応じたものではなく、個人の業績や能力を評価した賃金制度を採用する方法です。
資格制度やポイント制度の導入
個人の能力や資格に点数や等級を付ける事で、数字による区別を採用したものです。
業務の外部発注
大手企業の8割近くは、アウトソーシングとして外部へ事業の委託を行っています。
まとめ
人件費のコントロールの必要性は、景気の見通しが不透明な今だからこそ、必要な手段として導入すべき方法なのです。コントロールの方法は様々ですが、今までの形態を、時代に合わせた形態に変えて行く事が、今後の経営に求められる事なのです。