リーマンショックを超える経済危機、100年に1度とも言えるパンデミックに際して経営者の姿勢が問われています。緊急事態宣言後、事業を継続することへの風当たりも、日に日に大きくなっており、そうした風評のリスクも考えなければなりません。今回は新型コロナウィルスに関連する休業についてみていきましょう。
労働者と健全な関係を維持していくことがリスクを回避する
新型コロナウィルス禍を抜け出した後、危機を回避し、事業を回復させるためにも、できる限りの従業員へのケアを考えていくことが大事です。では、新型コロナウィルスに関連して従業員を休ませる場合、どのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。休業補償はどうなっているのでしょうか?
従来で言えば、 労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休まざるを得なくなった場合には、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならないとされている一方で、不可抗力による場合はその責を負う義務はないとされていました。
さて、今回の事態は「会社都合」と言えるのでしょうか。はたまた、「不可抗力」になるのでしょうか。今回の緊急事態宣言下における状況については、経営者の支払い義務は必要ないのでしょうか?
情報は日々更新されている ~改善された「雇用調整助成金」~
コロナ騒動の状況のもとで事業の休止や縮小などを余儀なくされた経営者が、従業員の雇用を維持させるために休業に対する手当を支払った場合、その費用を助成する「雇用調整助成金」という制度があります。
この制度は以前からありましたが、このコロナの影響を受ける経営者を支援するために特例措置をおこない、対象を広げた経緯があります。ポイントは以下のようになっています。
・雇用保険被保険者ではない労働者の休業も助成金の対象に含める。
・助成率は中小企業で9/10、大企業で3/4に拡充。
・事後の計画届提出が(~6/30まで)可能。
・全ての業種の経営者を対象とする。
以上、ご覧の通り、リーマンショック時よりもかなり対象が広げられたことになります。
また4月10日には、雇用調整助成金の申請書類を簡素化し、事業主の申請手続きの負担軽減と支給事務の迅速化を図るとの発表もありました。
・記載項目を約5割削減し38事項に。
・記載事項の大幅な簡略化。
・添付書類の削減。
・添付書類は既存書類で可に。
・計画届は事後の提出が可能に(~6月30日まで)。
充分ではないにしろ、国の態勢は経営者の立場に寄り添ったものとなっています。
まとめ
未知の見えない敵. コロナウィルスとの戦いは当分つづくと考えられています。リーマンショック以上の手厚い助成金も次々に発布されておりますが、ここで重要になってくるのは、刻一刻と状況が変わることに対する情報の収集になると思われます。
未曽有の社会的危機の前では経営者も労働者も等しく危機感を募らせています。双方にとって最善を尽くしたとき、この危機を乗り越えることで、さらに信頼関係を深めた労使関係が結べるものと信じています。