会社を支配されないために把握しておきたい必要株式の保有割合とは?

経営者の保険

経営者が会社の株式をすべて保有しているわけではなく、中には複数の株主が分散保有していることもあります。

株式を保有する株主が複数いると、経営者以外にも支配権があることを意味するため、どのくらいの保有割合か把握しておくことが大切です。

特に増資するときには、株式の保有割合に注意が必要となります。

そこで、会社を支配されないために把握しておきたい必要株式の保有割合について解説していきます。

支配権と支配株主

会社に対し行使できる権限のことを「支配権」といいますが、株式を保有する株主に対し与えられる権利です。

権限の主な内容として、たとえば株主総会特別決議の可決権限などが挙げられます。

持株比率が大きくなるほどその権限は大きくなるため、持株比率が高まれば株式の発行会社に対し強い支配力を発揮できるともいえます。

議決権のある株式の過半数を保有している株主が「支配株主」であり、他の株主が持株比率を上回ることがないことから経営面で支配できる立場となります。

中小企業の支配株主はほとんどが創業者やその一族であり、経営に対して外部から干渉を受けることはほぼないといえます。

支配株主以外にも、議決権のある株式を10%以上保有している「主要株主」や、大株主のうち持株比率が高い「筆頭株主」などいろいろな株主が存在します。

その中でも主要株主は上場企業などでの影響力が絶大であるため、上位株主の持株比率の変更で主要株主が変わったときには速やかな適時開示が義務付けられています。

経営権と支配権の違い

「経営権」とは株主総会における取締役選任・解任や報酬決定など普通決議を可決できる権限です。

法律に経営権といった用語はありませんが、議決権の割合で判断されることとなる権利であり、議決権を保有する株式の過半数を保有している支配株主に経営権があるとされています。

「支配権」とは株主総会における定款変更やM&Aなどの特別決議を可決できる権限です。

会社支配に必要な株式割合

会社の支配権を保有していれば、取締役会の過半数をコントロールできるとも考えらえます。

株式会社の取締役は株主総会の議決権により過半数で選任されるため、総議決権の過半数を保有すれば会社支配権があると判断できます。

総議決権の3分の2以上の株式があれば、株主総会の特別決議事項も単独で可決できるため、株式併合により他の株主の保有株式を1株に満たないものとして排除すれば100%株主になることもできます。