経営者は「メンタルモデル」を重視するとき

経営者の保険

「メンタルモデル」という言葉は、まだ聞きなれない言葉ですが、認知心理学の用語の一つです。経営者に関する「メンタルモデル」は、これから非常に重要になってくる課題とされています。今回は「メンタルモデル」を考え、今後に活かす内容を紹介します。

「メンタルモデル」を知ろう

「メンタルモデル」は、物事の認知機能を対象として「前提」を意味しています。人それぞれで「前提」となる部分が異なるということです。少し理解しづらいかもしれないので、「メンタルモデル」の例を出してみましょう。

小さい頃に犬に噛まれた経験がある人は、道を歩いている途中に犬が目の前を通ると、反射的に犬を恐れ隠れてしまいます。これは過去の経験から、「犬に噛まれ怖い」と認知しているのです。

しかし、小さい頃から犬と生活している人や、物心がついた時から犬と慣れ親しんでいる人が道で犬と遭遇したら、犬に近寄り頭を撫でたり、可愛がったりします。「犬はかわいい」と認知しているわけです。

このように人それぞれによる認知「犬が怖い、犬はかわいい」などは、過去の経験や体験に基づいた「前提」で判断してしまいます。それが「メンタルモデル」になります。

それでは、ビジネスの場において「メンタルモデル」は、なぜ重要視されているのでしょうか。

経営者が課題にすべき「メンタルモデル」

経営者は優秀な人が多いです。それは、過去の経験や体験から成功への道を歩んできている方が多くいます。ですが、そこが一番の罠となります。

優秀な経営者は、物事を論理的に考え行動を起こします。
「これをやるには、こう動けば、こうなるよね」
「だから今必要なのは、これだよね」
など、無駄と思うことを省き実行する力を経験から学び、働いている従業員や社員に提案しますが、実際の現場では経営者の考えと現場での考え「前提」が違う為に、どうしてもズレが生まれてきます。

経営者からしてみれば、「自分の考えている通りに仕事をすれば効率的であり、生産性アップするのに、なぜ自分の考えていることができないのだろう」と考えてしまいます。

当然の考えと言えば当然ですが、一番の罠はここから先になります。
それは優秀な人ほど自分の考えを曲げない人が多いということです。優秀であるがゆえ自分の考えを貫き通し、持っている情報の引き出しが沢山あるため、自分の考えを正当化するまでになります。

この状態は知らず知らずに、「現実を受け入れることができていない状態」になっているということです。

裏を返せば、自分を変えずに相手を変えようとしている状態でもあります。何故なら優秀な自分の正しい「メンタルモデル」を貫く、だからまわりが変わればいいと考えになるからです。

「メンタルモデル」による「前提」のズレがこのまま続ければ、最悪、経営破綻を招くリスクさえ生まれてくるのです。

経営者が「メンタルモデル」を変えるとき

さて、「メンタルモデル」で悩んでいる経営者に向けての解決策ですが、一番は問題解決に向けて自分へ、ベクトルを向ける方法が一番いいでしょう。

「何かを見逃している、気づいていない点は?」などを、自分に非がないかを起点に考えて見ましょう。実際に現場で働いている従業員をみて観察し話してみる、それを何度も繰り返すと、その人の「前提」が見えてきますので、自分との「前提」との違いも見えてきます。

まとめ

優秀な人が多い経営者は、自分の持っている「メンタルモデル」を貫き通し正当化する傾向が多くあります。その結果、実際に働いている現場とのズレが広がる一方になり経営に関してもリスクが生まれてきます。

経営者は自分の「メンタルモデル」に疑問を持ち、自分を起点に非になる部分を見つけて考えてみる努力が必要となってくるでしょう。