純損益とは、一定期間(主に1年間)の総収益と総費用との差額です。
一会計期間中の最終的な純利益または損失であり、プラスなら当期純利益、マイナスなら当期純損失として表示されます。
企業の収益力や経営成績を示す重要な指標といえるでしょう。
そこで、純損益について、会社役員が知るべき純利益と純損失との違いを解説します。
純利益とは
純利益とは、企業が事業活動で稼いだ利益から、法人税等の税金やその他社会的な費用をすべて差し引いた最終的な利益であり、企業活動の成果です。
最終利益や税引後利益とも呼ばれますが、経常利益に特別利益を加えて特別損益を差し引き、法人税などの税金を控除して計算します。
純損失とは
純損失とは、事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得の4所得の損失のうち、損益通算をしても控除しきれない金額です。
事業所得などに赤字の金額がある場合、損益通算をしても控除しきれない部分の純損失の金額は、損失分を翌年以後3年間に渡り繰り越せます。
繰り越すとは、翌年以降に黒字による所得発生において、損失分を差し引くことを示します。
純損失の繰戻還付とは
純損失の繰戻還付とは、本年度の赤字(欠損金額)について、翌年ではなく前年へと繰り戻すことで、前年度に支払った税金を払い戻してもらうことです。
法人税の繰戻し還付は、翌期以降の税金の減額効果はなくなります。
繰戻し還付に充てた当期の欠損金は、繰延税金資産を計上はできません。
また、欠損金の繰戻還付が適用されるのは法人税と地方法人税にのみです。
事業税や住民税などの地方税には適用されないため注意しましょう。
純損失と欠損金の違い
同一年度で所得と欠損がある場合、分離課税の一部所得を除いて、損益通算が可能です。
そのため、プラスの所得とマイナスの欠損の相殺ができます。
損益通算をしても全額相殺できなかった場合に、残った金額が純損失となります。
なお、個人事業主に関しては、青色申告で確定申告を行っていれば、純損失の繰越制度の利用が可能です。
純損失と雑損失の違い
純損失の金額とは、事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得の4つの所得の損失のうち、損益通算をしても控除しきれない金額のことです。
雑損失とは、本業とは関係のない営業外の費用のうち、少額で重要性が低く、他の勘定科目に該当しない損失を指しています。
たとえば、災害・盗難などの損失や横領などの賠償金支払い、税金の延滞税などが該当します。