事業承継で節税するために会社分割を活用する方法とは?

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会社の事業で子に継いでほしい事業と、継ぐ意思のない事業がある場合、会社を分割して売りたい事業を切り分け別会社にして売却するといった方法もあります。
例えば親が会社を経営していて、子が二人いる場合には1つの会社を息子二人に分割して相続させることはこれまではできませんでした。
しかし会社分割という方法を使うことによって、新会社を設立することにより子2人に別々に相続することが可能です。
支配権をめぐる株主間での争いなどはめずらしいことではありませんので、1つの会社をそれぞれが相続することで紛争を防ぐことができます。

相続争いだけでなくM&Aにも有効
会社の事業を分社して独立させ、株式を売却するM&A手法で節税効果が期待できるケースもあります。
仮に会社を売却することを通常通り行えば、利益に対して約20%の税金が分離課税で課税されることになります。
では会社を分割して新会社を設立し、旧会社は新会社の子会社としたまま新会社の株式を売却したとしたらどうでしょう。
残った旧会社に対する法人税には、新会社の株式を売却して得た利益に対する分も含まれます。会社分割後に会社を売却する場合、通常では適格分割にならないので営業権部分に法人税や地方税が課せられることになっているからです。
これでは節税どころか反対に多額の税金を支払うことになってしまいます。しかし譲渡益に対する20%の申告分離課税が課されるだけで済ませる方法がありますので参考にしてください。

譲渡益に対する申告分離課税のみにする方法とは?
社長が事業承継したい事業を受け入れる受け皿会社を準備します。この場合、開業して3年以上経過した会社などを準備することが望ましいですが、理由としては開業して3年未満の会社だと、相続税法上純資産価額による評価が強制されるからです。
事業を受け皿会社に移転する際、会社分割が共同事業要件での適格分割の要件を満たすことが必要です。そのため分割した会社は、分割する事業とシナジー効果を得ることができる事業を営むようにします。
共同事業要件の株式継続保有要件として、売却する会社の株式の継続保有は含まれませんのでそのまま売却しても譲渡益に対しての20%の申告分離課税が課されるだけとなります。なお、共同事業要件として、他にも色々な要件がありますので注意が必要です。

自社にとって一番良い方法の選択を
事業承継には様々な問題が起きる可能性もありますが、方法次第で節税効果を得ることができます。自社にとって抱える問題を解決できる方法であれば、上手く会社分割なども活用すると良いでしょう。