労災保険は、通勤中や業務中に起きた事故を補償するための保険です。労災保険を使った場合には被害者側が自己負担はなく、自賠責保険から支給になる120万円までの上限を有効に利用することができます。
他にも自賠責保険より労災保険のほうがメリットになることはたくさんあります。どのような部分でメリットがあるかを確認しておきましょう。
休業給付金の支給
休業した場合には労災保険から休業給付金を休業4日目から受け取ることができます。休業給付金額は、平均賃金の60%相当です。「事故発生前の賃金3か月間の総支給額÷3か月間の総日数×0.6×休業日数
で算出できます。
休業特別支給金の支給
また、休業特別支給金として平均賃金の20%相当を受け取ることができます。受け取ることができる支給金は、「事故発生前の賃金3か月間の総支給額÷3か月間の総日数×0.2×休業日数」で算出できます。
休業特別支給金は制度上の恩典で、加害者に対しての損害賠償額から控除されません。そのため休業損害を保険会社から全額支給されていたとしても、請求を行えば受け取ることができます。これにより休業損害額の120%を受給することが可能です。
後遺障害の等級認定について
例えば交通事故で障害が残ってしまった場合には、障害の度合いに応じての等級が認定されることになります。慰謝料はこの等級によって決まりますが、等級認定は自賠責保険と労災保険の双方で独自に行われます。
自賠責保険の審査方法は後遺障害診断書と提出のあった画像のみでの判断ですが、労災保険の場合は顧問医が直接診断を行った上で障害等級を認定します。
このことからわかるように、労災保険の等級の方が認定の精度が高いという特徴があり、等級自体も労災保険の方が上の等級で認定される傾向にあります。
両方から総取りはできない
支給については、自賠責保険と労災保険で調整されるため両方から総取りすることはできませんが、双方より調整された金額の支給を受けることになります。
等級が7級以上で認定された場合には、自賠責保険は一時金で、労災保険は等級に応じた年金での支払いになります。
労災保険の認定を先に受けるとスムーズ
労災保険年金の場合、事故日から1年6か月後に支給開始となり、6か月で症状が固定された場合には固定された時点で自賠責保険から一時金が支給されます。1年後からは一生涯に渡って3か月に1回年金支給となります。
後遺障害認定を受ける場合には、労災保険の認定を先に受けてから自賠責保険の認定を受けるとスムーズに認定されることになります。
その他労災保険のメリット
また、将来再発して手術が必要になった場合でも、再発申請を行うことで再度労災保険が適用されます。
さらに定められた範囲内の診療に限定されるものの、症状が固定された後の治療費についても労災保険から補償を受けることができます。
被害者が療養している間の身分を保障するために、会社は被害者の療養が終了するまで解雇は出来ないという「解雇制限」があります。
ただし解雇制限は通勤災害には該当しませんので注意しましょう。