社員が退職する際に支払われる退職金は、福利厚生費に含まれないことをご存知でしょうか?
また、急に必要となる場合もある退職金の積立は会計上どうすればよいのか?
今回は、退職金と福利厚生について紹介します。
【福利厚生とは】
はじめに、福利厚生について説明します。
福利厚生とは、簡単に説明すると社員に支払わなければならない給与や手当以外の費用です。
つまり、「従業員が生活を向上させるために発生する費用」なので、「お疲れ様です」という会社からの気持ちを経費として扱うものです。例えば、慶弔見舞金や社員の健康診断費、新年会、歓送迎会などが相当します。
似たような費用に、法定福利費というものがあります。福利厚生費の一部ですが、大きな違いは法的に会社が支払う義務があるものです。
例えば、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などが相当します。
これら福利厚生に退職金は含まれません。
では、社員が退職する際、経営者は退職金の支払い義務は発生するのでしょうか。
【退職金の支払い義務とその金額】
退職金制度を設けるかは、経営者の方が起業時に決める就業規則によって定められ、労働基準法には絶対に必要な記載事項とは決まってはいません。つまり、退職金の有無は経営者が自由に決められます。
退職金の金額自体は、雇用時の労働条件によって決められ勤務年数や役職など、会社へ「どれぐらい貢献したか?」によっても変わってきます。
通常、社員を雇う際に労働条件の一部として入社時に退職金の有無について事前連絡し、同意を得るのが定例となっています。
例外として・・
起業時に退職金の就業規則を定めず、社員と労働契約時に退職金の支払い義務について契約していなかったとして、後々会社が成長し社員が増えたことで退職金を支払う就業規則を追記した場合は、過去に遡って「支払い義務があるのか?」と確認が複雑になります。
こういった場合には社労士など専門職の方と詳細な相談することをお勧めします。
次に退職金の積立方法をみていきましょう。
【退職金の積み立てについて】
会計上は、企業の規模によって積み立て方法が変わります。その方法は主に2つです。
①月々に退職引当金として、およそ数万円から数十万積み立てる場合
②年末の決算時、取締役会により次年度に退職予定の方のため、およそ数十万から数百万を引き当てる場合
経営者の方は、無理のない積立額を計画的に算定し、長年勤めてくれた社員のためと考えてみてはいかがでしょうか。
【最後に】
退職金と福利厚生についてまとめてみました。
退職金は大切な社員にとって、人生設計の一部です。また、経営者の方にとっては「お疲れ様でした」と言葉で伝えるのと同時に、ひとつの表現として伝えることができます。
退職しても、仕事でかかわった方々との繋がりや気持ちが終わるわけではありません。
そういう気持ちが会社を育てていくのではないかと思います。