雇われ社長のリスク責任はどこまで?

経営者のリスク

「雇われ社長」というとオーナーが別にいるので責任はさほど無いのではないかと思われますが、どのようなリスクが生じそれに対してどれ程の責任がしょうじるのかこちらの記事でみていきましょう。

■訴訟問題に発展した場合

名義だけの代表取締役として「オーナーが実質的に企画、経営をし、事業計画も何も立てずに事業をスタートさせてしまった」などの話はよくあることです。そのため事業はうまくいかなくなり、オーナーが事業を辞めると言ってきた場合、商品の購買契約やコピー機等の機材リース契約、従業員との雇用契約への支払い等、一切ができなくなった時に訴訟問題に発展するケースがあります。そのようなときの雇われ社長としての責任はどうなるのでしょう。
この場合未払い先や従業員から見れば、代表取締役として経営判断を下し事業活動を指揮しているのは「雇われ社長」であり、オーナーではないのです。たとえオーナーの指示に従っていただけだとしても、それが「雇われ社長」の決断であり経営判断なのですから責任がかかってきます。

■連帯保証人

会社の設立段階では、登記・印鑑登録・銀行口座の開設等には代表者個人の実印・印鑑証明を要するものがあります。そうなることから、それら全部の責任が代表にかかってくると考えてください。銀行などの金融機関から融資を受ける場合には、連帯保証人をつけることを求められるのがほとんどです。雇われ社長を引き受け、会社が新たに融資を受けたりする際に連帯保証人になったとたん赤字経営になってしまった場合には、その債務を支払う義務を負うことになってしまうので注意が必要です。

■売上などの業績に対しての責任

実際は雇用される側の人間になるため、会社が守ってくれる立場ではなくなります。例えば労働基準法の適用外になるのでいくら残業しても休日出勤をしても問題にはなりませんし、また業績が上がらなかった場合、給料が減額されたりオーナーからクビを宣告されたりする可能性もあります。クビになったとしても従業員との扱いではないため失業保険がもらえません。
また、会社が法律を犯すような行為をして不当な利益を上げていた場合、その責任も問われてしまうのです。そのようなことから、オーナーとの信頼関係を最も重視し、会社の経営の事をよく把握しておく必要があるのです。また、不正な取引などが行われないよう会計帳簿を閲覧できるよう総株主の議決権の100分の3以上は持っておきたいものです。

■まとめ

登記簿上の名前だけだから…と安易に考えないでください。それなりのリスクを伴うのが雇われ社長なのです。たとえ現在の経営が安定していてもこれからの事はわかりません。もし、断るのが困難な場合は弁護士などと相談しながら進めていくのもいいでしょう。